風土"というのは読んで字のごとくそのとちの風、空気です。それぞれの土地には固有の風があるはずです。ところが現在の日本をかんがみるとその多くが喪失してしまったといわざるを得ません。駅前はおしなべて大型スーパーが幅をきかせ、国道沿いは日本全国津図浦々どこも同じようなチェーン店のけばけばしいネオンサインが横行しています。いったい日本の"風土"はどこにいってしまったのでしょう?
さて滋賀県近江八幡市は、豊臣秀次によって造られた美しい城下町です。しかし、時の流れによる建物の老朽化は免れず、貴重な日本建築家屋が取り壊され、駐車場や近代建築へと姿を変えつつある悲しい現実もないわけではありません。それでもなおこの近江八幡という土地は、ここに足を踏み入れた人達に懐かしい郷愁に似た思いを抱かさずにはおかない不思議な魅力を持っています。
私達はBIWAKOビエンナーレという芸術祭をこの地で開催することにより、町の活性化を図っていこうと思います。また日本全国、世界中から多くの人々が訪れるまちとなり、より一層開かれた国際的な町になることと思います。
そして、芸術祭の期間のみならず、地元の方々とも連携しながら空き家となった家屋を「寺子屋」多世代交流の場として使えるようにしていこうと考えています。


近江八幡の地で2回目となる今回のBIWAKOビエンナーレでは、時代の流れとともに失われてしまった土地固有の「風土」を世界各国アーティストの視点を通して表現し、その回復を試みます、空家となり今は使われていない商家や民家、酒蔵など、この町の時の流れを静かに見守ってきた歴史ある建物を会場として、美術展をはじめ、パフォーマンス、コンサート、シンポジウム、ワークショップなど多角的にアートを体験できる場を創造します。
語源はラテン語で地霊、八百万の神を意味します。その土地にしかない固有の風土と言い換えてもいいかもしれません。現代に生きる我々が忘れてしまった感覚、土地を敬う心を今一度取り戻し、目には見えない気配、木々や、風、水に潜む精霊たちのひそやかな声に耳を傾けてみようという試み、それが今回の BIWAKOビエンナーレです。
西田明夫、北川健次、市川平、竹田直樹、中川佳宣、山中透、石田智子、井上信太、津田直、片桐功敦、久住有生、平垣内悠人、堀江崇、田中太賀志、大舩真言、田中哲也、田辺磨由子、小板橋慶子、満田享、亀井麻里、辰巳嘉彦、サージ+ヨージ、高見晴恵、松尾郁子、斎藤寛、嶋田健児、イ−サ−、ジャン・ピエール・テンシン、ガブリエラ・モラウェツ、パンチョ・キリシ、エリザベス・オジェ、チェ・ウラム、シュテラ・ゲッペルト、ヨーゼ・スラク
人が住まなくなって久しい家、あるいはかつて多くの人たちが働く場であった酒蔵など、今はひっそりとかつての記憶を抱いてたたずむそんな建物たちをお借りし、各々の作家たちは、その建物と対話しつつ制作展示をしていきます。また今回は現役のお店を営んでいらっしゃる方々にもご協力いただき、町全体に楽しい展示作品が溢れ、住む人にも来る人にも満足感を味わっていただけるものにしたいと思っています。展示のみでなく、実際に作品を売る店を開いたり、カフェにしたり日常に根ざした活動を計画している作家たちもいます。作家たちは地元の産物を使って何かできないか、また地元の方々と協同で何かできないか、現在模索中です。まずは“まち”ありき、わたしたちは、まちとそしてそこに住む人々とともにこのBIWAKOビエンナーレを作り上げていきたいと思っています。
今回は身体を通して“そこ“の風と対話するちょっと静かなパフォーマンス・コンサート。一個一個の固体である私たちの一生はそれほど長くはないけれど、私たちの身体を形作る遺伝子は太古の記憶を忘れてはいない。今回のパフォーマンス・コンサートでどんな記憶が皆さんの身体を通して想起されるのでしょう?
テーマは「こどもの未来―アートの力」。夢いっぱい、楽しさいっぱい、好奇心いっぱい、こどものころには“いっぱい“がそれこそいっぱいある。そんなこどもたちがおとなになっても生き生きと目を輝かせて生きていくことができる未来社会を模索します。
今回も多くの作家たちが楽しいワークショップを繰り広げます。制作過程そのものをワークショップにする作家もいれば、会期中毎日続ける作家さんもいます。どれもこれも興味深いものばかり。作品を鑑賞するのとは違った醍醐味!そして作品だけ見ていてもわからない作家さんの素顔が見られるチャンスです。ワークショップに参加すると作品もまた違って見えてくるから不思議。